卓越した存在になるには?
ガイ・カワサキという人をご存知でしょうか?
ガイ・カワサキ(Guy Kawasaki)氏は、アメリカ・シリコンバレーの著名なマーケティング専門家、作家、講演者で(日系アメリカ人)、Apple社でMacintoshコンピューターの普及に大きく貢献した「Apple伝説のエバンジェリスト*」、そして多くの起業家を成功に導いてきた「全米屈指のベンチャーキャピタリスト」として知られています。また、イノベーションやアントレプレナーシップ(起業家精神)についての多くの著作や、Podcastでの情報発信を行っています。
*エバンジェリスト:単に商品を売る営業ではなく、心からその製品やアイデアを信じ、他の人にもその良さを感じてもらいたいという思いで、まるで「伝道師」のように他の人に伝えて広める役割を持つ人のこと。
そのガイ・カワサキ氏が、Ted Talksで"How to be remarkable"(卓越した存在になる方法 )というタイトルで語っています。その中で、以下の二点に注目しました。
一つは、「引用:Pursue interests, not passions」(情熱ではなく、興味を追求せよ)です。皆さんも、情熱を探しなさい、やりたいことをやり抜きなさい、そう言われたことがあるのではないでしょうか?しかし、彼は、情熱があるかは気にせず単純に興味があることをやれ、興味は変わるものだから変わってよい、と言います。そして、興味あることをやっている中で、「これ」という情熱が見つかる、と。伝説と言われる人が言うと、説得力があります。
もう一つは、「引用:Find Your Shit Sandwich」(困難・苦労を厭わずやれることを探せ)。当然、何をやるにも苦労や困難が伴いますが、その苦労や困難を喜んで受け入れられるようになった時、それが興味が本当の情熱に変わる時だ、と。その苦労や困難に「喜び」を見い出せるようになったら、あなたは「卓越」の道を歩んでいる、と言います。
動画の中では語られていませんが、では、「苦労や困難を喜んで受け入れらるようになる」のはどんな時でしょうか?
それは、苦労や困難の中に「意味」を見い出せるようになった時ではないでしょうか?誰しも、意味が感じられない事をやり続けるのは苦痛なはずです。苦労や困難の先に意味があると思うから続けられる。
では、どういう時に「意味」を感じるか。意味を感じるか否かは、その行為が「目的」に沿っているか否か。自分の目的に沿った行為に対して、意味を感じるのだと思います。ということは、「目的」が大きいほど、明確なほど、「苦労や困難を受け入れられる(意味を見い出せる)」可能性があると思います。
もう一歩踏み込んで、では、目的が大きくなるということはどういうことか。それは、例えば、物事に取り組む理由が、「自分の成長や自己実現」など「自分の事」から、「世の為、人の為、次世代の為、地球の為」など「自分以外の事」に目的意識が拡張するということではないでしょうか(=自分以外のことが自分事になる)。人は自分のためよりも、他人のための方が力が出ると言いますよね。
スタンフォードのビジネススクールのモットーは「Change Lives, Change Organizations, Change the World」です。君たちがここにいるのは、自分自身のキャリアアップや成功のためではない、人々の生活や人生・組織・世界を変えるためだ、と言うのです。シリコンバレー・スタンフォードで様々な「卓越」した方々に接する機会がありますが、多くの方が何かしらの「使命感」「人生の目的・テーマ」を持っています(パッションやミッション、ビジョン、パーパスなど表現方法は様々ですが)。
つまり、自分が情熱を持てることは何かと悩むよりも、興味を持つことを実際にやってみること(Action)、また自分は誰のためになりたいのか・何のために生きたいのかを見い出すこと(Mission・Vision)が大切なのだと感じます。