世界一高い木・レッドウッド

スタンフォードのロゴにあしらわれている木が何かご存知でしょうか?

それは、レッドウッド/Redwood(セコイア・センペルビレンス/Sequoia Sempervirens)という木で、スタンフォードの真横のパロアルト/Palo Alto市も同じくこのレッドウッドの木をロゴにしています(El Palo Altoはスペイン語でThe Tall Stickという意味)。

スタンフォードとパロアルト市の関係は、スタンフォードの設立当初にまで遡ることができます。鉄道王で元カリフォルニア州知事のリーランド・スタンフォードと妻のジェーン・スタンフォードは、1884年に唯一の息子リーランド・ジュニアを亡くしたことをきっかけに、大学を設立することを決意し、巨額の財産と8,180エーカーのパロアルト牧場を大学に寄贈し、その場所が今のスタンフォードのキャンパスとなりました。

レッドウッドは、アメリカのカリフォルニアの海岸地域にのみ自生する珍しい木で、最大級で379feet≒115メートルに達し、地球上で最も高い木と言われています。最も古いもので樹齢は2000年を超え、細く真っすぐ伸びるのが特徴です。なんと原種は恐竜時代でもある2億年以上前から生息していたと言われており、今ではレッドウッドの原生林は5%しか残っていないようです。

このレッドウッド、面白い特徴を幾つか持っていて、そこから、何か大切なことが学べるような気がします。

①根
レッドウッドの木は、その高さに比して幹は細いのですが、なぜそれでも真っすぐ立っていられるかというと、根っこに秘密があります。根っこは、くねくねと横に浅く広く伸び、しかも他の木の根っこと絡み合い、嵐が来ても倒れない安定力を作っているのです。実際に、グループになって複数本が近くで生えているレッドウッドをよく見かけます。高みを目指す志を持つもの同士で、助け合いながら高め合うことの大切さを教えてくれているような気がします。

②幹
幹にも秘密があります。レッドウッドの森が育つには、一定の自然発生的な火災が必要だと言われています。火災が、腐敗した植物を除去してレッドウッドの種が土壌に着地する助けとなり、また、バクテリアや菌をやっつけるそうです。一方で、レッドウッドの幹の樹皮にはタンニンが含まれており、火災から守ってくれるそうです。人間も、志を貫く上で、一定の困難は避けられない、むしろ必要だということなのかもしれません。

③葉
レッドウッドの森の一帯は、比較的乾燥していますが、霧が発生する地域でもあります。レッドウッドは、葉から直接水分を吸収できるようになっています。また、葉に水滴を作りその雫が雨のように落ちて必要な水分をとれるようになっています。レッドウッドが下から育って霧を突き抜けるくらいの高さに至るには、一体何年かかるのでしょうか。シリコンバレーではスタートアップが盛んですが、スタートアップはまさに先が見えない霧の中を進む必要があり、突き抜けるには何年もかかります。決して輝かしい側面だけではありません。先が見えない時も全身で吸収し続け、歩み続けることの大切さを感じます。

そんな色々なことに気づかせてくれるレッドウッドの木が、シリコンバレーの色々な国立・州立公園で見ることが出来ます。シリコンバレーに来た際には、是非、レッドウッドの壮大・雄大な木、また懐の深い落ち着いた森を見てみて下さい。

以下はゴールデンゲートブリッジから車で20分くらいのところにあるMuir Woords National Parkの様子と、パンフレットの写真です。